原作屈指のシリアスかつ感涙を誘う名シーンでありながら、なぜネットスラングとしてここまで定着したのでしょうか。ネットコミュニティの観察を続けると、以下の3つの文脈で重用されていることがわかります。
第一に、「SNS上の不毛なレスバトルや炎上騒動の沈静化」です。X(旧Twitter)や掲示板などで、互いに引くに引けなくなったユーザー同士が罵り合っているスレッドに対し、第三者がコビーの画像を貼りつつ「もうやめましょうよ!」とリプライを送る使い道です。深刻になりすぎた空気を適度に脱力させつつ、喧嘩を止めさせるクッションとして機能します。
第二に、「ソシャゲの泥沼ガチャに対する自己戒め・警告」です。目的の限定キャラクターが出ないまま数万円、数十万円と課金を重ねるプレイヤーに対し、周囲や本人が「もうやめましょうよ! お金(あるいは石)がもったいダイ!」と改変して使用します。身を滅ぼしかねない無謀な突撃を留まらせるストッパーとしての役割です。
第三に、コラ画像文化の波及です。コビーの必死の泣き顔を他のキャラクターに差し替えたり、赤犬の冷徹な表情とセットでオチをつけたりするフォーマットが確立され、汎用性の高い「ネット構文」として一人歩きを始めました。