『TSUNAMI』の歌詞において最も鮮烈な印象を残すフレーズが、歌い出しに配置された「見つめ合うと 素直にお喋り出来ない」という素朴かつ普遍的な告白です。百戦錬磨のポップマエストロである桑田佳祐が紡ぎ出したこの言葉は、どれほど歳を重ねても色褪せない恋のときめきと、それゆえの臆病さを巧みに表現しています。
サビで歌われる「風に戸惑う弱気な僕」「通り過ぎてく潮風」といった描写は、海辺の風景を通じて主人公の揺らぐ心を象徴しています。そしてタイトルの「TSUNAMI」という言葉は、制御不能な自然現象を指すのではなく、「押し寄せては引いていく激しい感情の波」や、自分では抑えきれない恋心の圧倒的な衝動を比喩として用いたものでした。
歌詞全体を丁寧に読み解くと、未練や切なさを抱えながらも「巡り逢えた幸運」に感謝し、相手の幸せを願う大人の哀愁が通底しています。破局の痛みを抱えつつ、それでも消えない想いを抱きしめて生きていく姿勢が、老若男女の琴線に触れる普遍的な魅力へと昇華されています。