女子生徒が消息を絶った十日町市と、発見場所である長岡市は、同じ中越地方に位置しながらも明確な地理的隔たりがあります。両市の中心部を結ぶ直線距離は約30kmですが、信濃川そのものは山あいを大きく蛇行しながら北上するため、実際の流路距離は40kmから45km以上に達します。
十日町盆地を抜けた信濃川は、小千谷市を経て長岡平野へと抜けていきます。この途中には川幅が狭まり流れが急激になる渓谷部や、複数の堰・橋脚が存在します。冬場から初春にかけての厳しい冷え込みの中、水温は0度近くまで低下し、流水の推進力と浮力の変化は極めて複雑になります。
水難事故や漂流事案を研究する水理学の観点からも、真冬の増水前は比重の関係で川底近くに留まっていたものが、春の融雪出水に伴う強い攪乱と水温上昇によって浮力を得て、一気に数十キロ下流へと流送されるケースは珍しくありません。十日町市から長岡市という長距離の移動は、冬から春へと移行する信濃川の過酷な水文特性を浮き彫りにしています。