食卓の選択肢としてもう一つ外せないのが「黒酢」です。黒酢(米黒酢)は、米酢の規定をはるかに上回る1リットルあたり180g以上の玄米や精米を使用し、琥珀色や黒褐色になるまで長期間の発酵・熟成を施したものです。メラノイジンと呼ばれる褐色色素や必須アミノ酸が豊富に含まれ、独特の香ばしさとスモーキーなコクを持ちます。酸度自体は通常の米酢と同等の約4.2%, 4.5%ですが、風味が極めて重厚なため、さっぱりとした酢の物に単体で使うと主張が強すぎるリスクがあります。主に中華炒めや黒酢あんかけなど、力強い調味料と合わせる用途に適しています。
もしレシピで「米酢大さじ1」と指定されている場面で、手元に穀物酢しかない場合の代用メソッドも確立されています。穀物酢特有の角を和らげ、米酢に近いアミノ酸の厚みを疑似的に補うための黄金比率は以下の通りです。
【米酢の代用比率(大さじ1相当)】
穀物酢:小さじ2 + 本みりん:小さじ1/2 + 砂糖:ひとつまみ
本みりんを微量に補填することで、醸造アルコール主体の穀物酢に足りない「ブドウ糖・オリゴ糖」と「米由来のまろやかさ」を物理的に付加できます。逆に穀物酢を指定されたさっぱり煮に米酢を代用する場合は、特別な調整を行わずそのまま1対1の分量で投入しても問題ありません。