最新アルバム『メモリアルソングス』に収録された『アメリカ橋』リアレンジ版は、1998年のオリジナル盤が持っていたブラスやシンセサイザーの軽快なビート感を抑え、アコースティックギターとストリングスを軸としたオーガニックな響きに再構築されています。
特筆すべきは、テンポをわずかに落としたことで際立つ、歌詞の語り口です。「煙草の煙が目にしみただけさ」という有名な一節に、人生の酸いも甘いも噛み分けた70代手前の山川の肉声が重なり、原曲とはまったく異なる陰影が生まれています。スタジオ関係者の証言によると、レコーディングは体調の良い日を見極めながら複数日に分けて行われ、1行1行のフレーズに渾身の情感を込める緻密な作業が続けられました。