髪は香りを定着させるための理想的な媒体です。繊維状のタンパク質で構成される毛髪は表面積が広く、体温による過度な揮発が起きにくいため、香水よりも穏やかに香りを放ち続けます。これが近年注目を集める「ヘアフレグランス効果」の根本的な仕組みです。
市販品の中には、洗髪後わずか2, 3時間で香りが霧散してしまうものも少なくありません。その差を分けるのは、香料そのものの配合量ではなくキューティクルの状態です。洗浄力の強すぎるラウレス硫酸系シャンプーでキューティクルが剥がれ落ちると、髪内部の水分とともに香料分子も流出します。一方で、穏やかに洗い上げるアミノ酸系シャンプーは毛髪表面の脂質膜(18-MEA)を傷めず、香気成分を髪の表面に均一にホールドさせます。
微細エマルジョン技術の進展も見逃せません。洗髪中、すすぎ時、そしてドライヤー熱に反応して段階的に香りを解き放つ多段階放出型(ロングラスティング)処方が、ドラッグストア市販の標準モデルにも導入されています。この技術により、朝のスタイリングから夕方の退勤時に至るまで、髪が揺れるたびに心地よいトップからミドルノートの香りが持続します。