受験界で長年語り継がれている定説に、「進研模試の偏差値は、他の予備校模試よりも高く出る」というものがあります。SNSや受験生コミュニティ(5ちゃんねるやYahoo!知恵袋など)でも、「進研模試で偏差値65だったのに、河合塾の全統模試を受けたら55まで急落して絶望した」という悲鳴が毎年のように書き込まれています。
この現象は、テストの難易度の問題だけではなく、統計学的な「母集団(受験者層)の構造的違い」によって引き起こされています。
- 進研模試の母集団:全国の高校単位での「全員受験(強制受験)」が基本。大学進学を希望しない生徒、専門学校志望者、推薦・総合型選抜で早期に進路を決める層も多く含まれるため、母集団の平均点が下がりやすく、結果として一般選抜を目指す層の偏差値が上振れする。
- 河合塾全統模試・駿台模試の母集団:一般選抜での大学受験を明確に意識した高校生に加え、学力の高い浪人生(既卒生)が多数参戦する。母集団の学力レベルが最初から高いため、同じ実力であっても偏差値は厳しく算出される。
実際の進路指導現場で用いられている、進研模試と河合塾全統模試の偏差値換算の目安は以下の通りです。
| 模試の種類 | 主な受験者層(母集団) | 偏差値の出方(体感ギャップ) | 旧帝大・早慶レベルの目安 |
|---|---|---|---|
| 進研模試(ベネッセ) | 高校単位の現役生全体(非進学層含む※高3後半は駿台共催で変化) | 基準値(最も高く出やすい) | 偏差値 70〜78前後 |
| 河合塾 全統模試 | 大学受験志望の現役生+全国の浪人生 | 進研模試より −5〜−8程度 | 偏差値 62.5〜67.5前後 |
| 駿台 全国模試 | 難関大・医学部志望のトップ層+浪人生 | 進研模試より −10〜−15程度 | 偏差値 55〜62前後 |
ただし、ここで注意すべき重要な事実があります。「進研模試は偏差値が5〜8高く出るから、合格判定も甘い」と短絡的に考えるのは誤りです。ベネッセが発行する合格ライン冊子では、母集団の偏差値が高く出ることを前提として、各大学の合格ボーダー偏差値自体もあらかじめ高く設定されているからです。