手縫いで「糸を見せない」と一口に言っても、補修したい箇所の形状や布の重なり方によって選択すべき縫い方は明確に分かれます。誤った縫い方を選んでしまうと、布が引きつれてシワが寄ったり、強度が不足してすぐに再破断を起こしたりする原因となります。
家庭で行うリペアにおいて、絶対に押さえておくべき代表的な手法は以下の3つです。
| 縫い方の名称 | 最適な補修用途 | 仕上がりの特徴・難易度 |
|---|---|---|
| コの字縫い(ラダーステッチ) | ぬいぐるみの綿詰め口、クッション、洋服の脇線などのほつれ補修 | 左右の折り目を交互にすくって最後に引くと、糸が完全に内側へ消える。難易度:低〜中 |
| 流しまつり縫い | スカートやスラックスの裏側処理、アップリケの縫い付け | 表の布目をわずか1〜2本だけすくうため、表地には極小の点しか見えない。難易度:低 |
| 奥まつり縫い | フォーマルなズボンの裾上げ、ウールスーツの仕立て直し | 折り返したヘムの奥深くに糸を通すため、表面はおろか裏をめくっても糸が見えない。難易度:中〜高 |
ぬいぐるみやクッションのように「裏側に手を入れて玉留めができない立体物」にはコの字縫いが一択となります。一方で、平面的に布が折り返されているスラックスなどの裾には、まつり縫いやその発展形である奥まつり縫いが最も適しています。