「ナス炒めを作ると油を際限なく吸ってしまい、仕上がりが脂っこくなる」「噛んだ瞬間に油がじゅわっと出て重たく感じる」という悩みは後を絶ちません。ナスのスポンジ構造(多孔質組織)は油を吸着しやすい特性を持っていますが、科学的なアプローチで下ごしらえを行えば、驚くほど少量の油でトロトロに仕上げることができます。
まず見直すべきは下ごしらえと切り方です。乱切りにする際、皮目に斜めの細かい格子状の切り込み(隠し包丁)を数ミリ深さで入れます。これにより火の通りが圧倒的に早くなり、余計な加熱時間をカットして油の過剰吸収を防ぎます。さらに、切り落としたナスをボウルに入れ、大さじ1杯程度の植物油(またはごま油)を回しかけ、全体を手で揉み込むようにコーティングしてください。
フライパンに大量の油を注いでから冷たいナスを入れるのではなく、「あらかじめ薄い油の膜をまとわせたナスを、中火で熱した乾いたフライパンで焼く」という手法を取ることで、ナスの内部組織が急速に加熱されて膜を作り、余分な油の侵入をブロックします。皮目を下にしてじっくり焼き付けると、アントシアニン色素が定着して鮮やかな紫色をキープする色止めの効果も同時に得られます。