椎名もたさんの訃報がより一層の切迫感をもって受け止められた要因の一つに、逝去日当日に新曲が投稿されていたという事実があります。
2015年7月23日午後、ニコニコ動画およびYouTubeに公開された楽曲「赤ペンおねがいします feat. 初音ミク」。どこかノスタルジックで乾いたビートに乗せて歌われる歌詞には、「大人になることへの戸惑い」や「自己の存在を評価してほしいという切実な叫び」が刻み込まれていました。投稿文には「大人になるってこういうことなのかな」といった趣旨の一文が添えられており、結果としてこの楽曲が生前最後の公開作品、すなわち実質的な遺作の一つとなりました。
逝去の数時間前まで通常通り創作物を発表していたという生々しいクリエイティビティの痕跡は、多くのファンや同世代のボカロPに計り知れない喪失感と問いを残すことになりました。