英語の「No, thank you」を辞書で引くと、真っ先に「いいえ、結構です」という訳語が表示されます。しかし、これをそのまま日本のコンビニや飲食店で口にすると、場の空気が一瞬で凍りつく場面に遭遇します。オーストラリアの大手紙SMH.com.au(The Sydney Morning Herald)が報じた旅行マナー特集でも指摘されている通り、日本旅行において「現地の作法を理解せずに直訳表現を使うと、相手を意図せず突き放してしまう」というトラブルは後を絶ちません。
日本語における否定表現は、直接的な「No」を避ける構造を持っています。「いいえ」という言葉自体が強い拒絶や相手の誤りの指摘を内包しているため、日常のサービス場面で発すると「怒っているのではないか」「何か失礼なことをしただろうか」と店員に過度な緊張を強いてしまうのです。バンクーバーのカルチャー誌The Georgia Straightによる日本旅行Tipsでも、感謝の意を先に添える重要性が強調されているように、拒絶の核となる言葉をいかに柔らかく包むかがコミュニケーションの成否を分けます。