2024年7月、マルハンが大和屋本店の株式取得に向け基本合意を締結したとの一報が駆け巡り、同年10月に買収が正式に完了しました。地方の老舗旅館が異業種大手に買収される際、多くの場合「経営不振による投げ売り」や「看板の消滅」が懸念されます。しかし、今回の買収はそうしたネガティブな文脈とは一線を画すものでした。
根底にあったのは、全国的な地方旅館が直面している深刻な後継者不足とコロナ禍後の設備投資負担です。大和屋本店は松山市観光の中核を担う存在でありながら、将来を見据えた資本強化と次世代への円滑な事業承継を模索していました。一方のマルハンは、ホール事業で培った顧客サービス力を基盤に、ホテル・観光事業への多角化を積極推進しており、両者の思惑が一致した形です。
| 時期 | 主な出来事・公式発表 | 観光・経営面への影響 |
|---|---|---|
| 2024年7月 | マルハンと大和屋本店が株式譲渡に向けた基本合意を発表 | 老舗ブランドの存続と雇用維持を最優先とする基本方針を明文化 |
| 2024年10月 | 株式取得が完了し、マルハングループへ正式参入 | 大和屋ベニールなどの関連事業も含めた新経営体制がスタート |
| 2025年〜2026年 | 観光庁のインバウンド・夜間コンテンツ補助事業等を推進 | 能舞台を活用した夜間演出やDX導入により、滞在体験の付加価値が向上 |
公式発表資料および報道各社への回答において、マルハン幹部は「大和屋本店が築いてきた歴史、文化、能舞台をはじめとする伝統はそのまま引き継ぐ」と明言。従業員の雇用も守られ、外観や屋号が損なわれるような改装は行われませんでした。