ムスリムに課せられる1日5回の礼拝(サラー)は、時計の針ではなく「太陽の運行」を基準に時刻が決定されます。具体的には以下の5つの時間帯に分かれています。
- ファジュル(Fajr):夜明け前、東の空が白み始める時間帯
- ズフル(Dhuhr):正午を過ぎ、太陽が天頂から傾き始める時間帯
- アスル(Asr):影の長さが物体の高さと同じ(または2倍)になる午後
- マグリブ(Maghrib):日没直後、夕暮れの時間帯
- イシャー(Isha'a):夕焼けの赤みが完全に消え、夜の闇が広がる時間帯
インドネシアのように赤道直下に位置する国では、年間を通じて日の出が午前6時前後、日没が午後18時前後とほぼ一定です。そのため、礼拝時間は1年中ほとんど変化しません。ところが、中緯度に位置する日本では季節による日照時間の変動が極めて激しくなります。
例えば東京では、夏至を迎える6月下旬になるとファジュルは午前2時30分頃まで早まり、マグリブ(日没)は午後19時を過ぎます。一方で冬至の12月下旬にはファジュルが午前5時30分頃まで遅くなり、マグリブは午後16時30分前後に前倒しされます。マグリブからイシャー、そして翌朝のファジュルに至る間隔が季節によって3〜4時間もスライドするため、母国と同じ感覚で時計を見ていると、日没の礼拝を見逃したり睡眠リズムが完全に崩壊したりする事態に陥るのです。