三浦璃来選手と木原龍一選手が出会ったのは2019年8月のことでした。当時、木原選手は度重なる負傷やパートナーとの解散により、一度は現役引退を決意し、スケートリンクのアルバイトとして生計を立てていました。一方の三浦選手もまた、ジュニア時代からペアスケートに情熱を注ぎながらも、組むべき相手を失い途方に暮れていた時期でした。
そんな2人を引き合わせたのは、関係者からの「龍一くんって、すごくいい人だよ」という何気ない一言でした。木原選手にとっては「これが最後のチャンス」と覚悟を決めて臨んだトライアウト。氷上に降り立ち、手を取り合ってひと滑りした瞬間、2人の脳裏には同時に全く同じ衝撃が走りました。後に2人が口を揃えて「雷が落ちたような衝撃だった」「ここまで相性が合う人が世の中にいるんだ」と語った伝説の瞬間です。
五輪後のテレビ特番で明かされたところによると、木原選手の手を初めて握った瞬間、三浦選手は「これまでに感じたことのないフィット感と安心感」を直感したといいます。一方の木原選手も、三浦選手の滑りのリズムやジャンプのタイミングが、まるで長年組んできたパートナーのように完全にシンクロすることに戦慄を覚えたと告白しています。この奇跡的な相性の良さこそが、日本フィギュア界の歴史を覆す快進撃のスタートラインとなりました。