『TSUNAMI』の歌詞において最も読者の心を捉えるのは、制御不能な激しい感情の昂ぶりを巨大な「津波」という自然現象に重ね合わせた比ゆ表現です。「風に戸惑う弱気な僕」という導入から、サビで一気に感情が爆発する構成は、日本語ポップスの到達点とも評されます。
歌詞中では、強がってみせながらも好きな人の前では脆く崩れ去ってしまう男性の心情が痛々しいほどリアルに描かれています。「見つめ合うと素直にお喋り出来ない」という思春期のような純真さと、「思い出はいつの日も雨」という成熟した大人の諦念が絶妙なバランスで共存している点が、幅広い世代の共感を呼んだ要因です。
ネット上やファンの間では「過去の引きずった恋の歌なのか、現在進行形の不倫や禁断の愛なのか」といった議論が度々交わされてきましたが、桑田佳祐特有の言葉選びは、聴く人それぞれの人生の痛点に寄り添うように設計されています。日本語の持つウェットな情緒を、洋楽由来のポップスビートに見事に融合させた職人芸が、この歌詞の最大の凄みと言えます。