鯛のあら炊きで最も多い失敗原因は「生臭さ」です。鯛のアラには、エラ周辺の残留血液、皮やヒレの根元に埋もれた細かなウロコ、そして表面に酸化したヌメリが付着しています。これらを水洗いだけで落とすことは不可能です。ここで必須となるプロの技が下処理 霜降りです。
まず、アラ全体に軽く塩を振り、15〜20分ほど置いて余分な水分とドリップを浮き上がらせます。続いて、沸騰直前(80〜90℃)の湯にアラを数秒くぐらせ、表面が白くなったら即座に冷水や氷水へと落とします。沸騰した熱湯に長く漬けすぎると旨味成分であるイノシン酸が流出してしまうため、表面のタンパク質を凝固させるだけに留めるのが鉄則です。
冷水に浸したアラの表面を、指の腹や竹串を使って撫でるように洗い、白く浮き上がったウロコ、ヒレ周りの頑固な硬いウロコ、そして骨の隙間にこびりついた暗赤色の血合い(腎臓部分)を丁寧にかき出します。この一連のウロコ取りと清掃を妥協なくやり切ることで、煮汁に雑味が溶け出すのを根本から断つことができます。