『はたらく細胞』の基本設定を振り返ると、T2ファージが本編に登場しにくかった生物学的な理由が明白になります。作中で細胞たちを苦しめるウイルスはすべて「ヒトの細胞」に感染する病原体ですが、T2ファージは「細菌」のみを宿主とするバクテリオファージだからです。
| ウイルス / 微生物の種類 | 主な標的(宿主) | 作中での描写・立ち位置 |
|---|---|---|
| T2ファージ(バクテリオファージ) | 大腸菌(細菌) | 未登場。ヒト細胞を襲わないため白血球の直接の敵にならない |
| インフルエンザウイルス | 呼吸器などのヒト一般細胞 | 敵勢力。一般細胞をゾンビ化させ、キラーT細胞やマクロファージと激突 |
| ライノウイルス(風邪症候群) | 上気道のヒト一般細胞 | 敵勢力。くしゃみロケットなどの物理ギミックで体外へ排出される |
| 大腸菌(Escherichia coli) | なし(腸内や創傷部位に定着) | 雑菌・敵役。好中球に貪食される典型的な細菌感染の脅威 |
T2ファージは正二十面体の頭部(カプシド)にDNAを収め、鞘と尾部繊維を使って大腸菌の表面に降り立ちます。バネのように尾部を収縮させて自らの遺伝物質を細菌内部へ注入し、宿主の生合成機構をハイジャックして増殖。最終的には溶菌酵素によって大腸菌の細胞壁を破壊し、数百もの子ファージを放出して宿主を破裂死させます。ヒトの上皮細胞や免疫細胞には目もくれず、ただひたすらに大腸菌のみを標的とする特異な性質を持っています。