「甘味処 彦いち」が他の甘味処と一線を画す最大の理由は、その重厚な建築美と情緒にあります。店を構えるのは、青葉区一番町四丁目商店街のメインストリートから路地裏へ数十メートル入った隠れ家的な立地。暖簾をくぐると、外の賑やかさが嘘のように引いていき、玉砂利と手入れの行き届いた坪庭が来訪者を迎えます。
河北新報をはじめとする地元メディアの記録によると、この建物はもともと高級料亭として使用されていた数寄屋造りの建築です。昭和の時代、仙台の旦那衆や文人たちが夜な夜な集った座敷の面影を大切に残しながら、1976年に甘味処として開業しました。柱や梁の艶やかな木肌、障子越しに差し込む柔らかな自然光、そして坪庭の緑が織りなす空間は、腰を下ろすだけで旅の疲れをほどいてくれます。
店内には畳敷きのお座敷席とテーブル席がゆったりと配置されており、どの席からも中庭の風情をほのかに感じられる設計です。器一つをとっても、陶器の温もりが感じられる特注品が使われており、日常を離れた贅沢な時間の流れを体感できます。