ウナイ・エメリ監督が率いるアストン・ビラは、精緻なハイライン戦術と後方からのビルドアップを極めて高度に組織化している。ゴールキーパーには単純なシュートストップだけでなく、ペナルティエリア外をカバーするスイーパー機能と、プレッシャー下で長短のパスを散らす正確な配球力が求められる。鈴木彩艶のフィジカルスペックやパントキックの飛距離はプレミア基準でもトップクラスだが、問題は競争相手の格だ。
ビラにはワールドカップ優勝GKであり、2年連続で世界最優秀GK賞(ヤシン・トロフィー)を受賞したエミリアーノ・マルティネスが正GKとして居座る。仮にマルティネスが残留した場合、鈴木が出場機会を得られるのは国内カップ戦の数試合に限られる公算が高い。闘莉王氏が危惧するのは、この「高額移籍に伴う飼い殺し」リスクであり、出場機会を棒に振るくらいなら、パルマで毎週セリエAの強豪を相手にゴール前でシュートを浴び続ける方が実戦値は確実に上がると見立てている。