東京都西多摩郡奥多摩町に鎮座する小河内ダムは、総貯水容量約1億8,540万立方メートルを誇る国内最大級の上水道専用ダムです。このダムが30%台にまで落ち込んだという事実は、東京都民にとって極めて重い意味を持ちます。
小河内ダムは、多摩川水系の水の供給拠点であると同時に、東京都全体の「バックアップ貯水池」としての重責を担っています。通常、東京都の水道水源の約80%は利根川・荒川水系から引かれており、多摩川水系が占める割合は約20%にすぎません。しかし、利根川水系にトラブルや取水制限が発生した際、都民1,400万人の命の水を補填するのがこの奥多摩湖の蓄えです。
その防波堤とも呼ぶべきダムの貯水率が干上がっていく光景は、渇水の心理的プレッシャーを跳ね上げます。露出した旧集落の遺構や、ひび割れた湖底の写真がSNS上に拡散されたことで、都民の間で「1994年の平成大渇水の再来ではないか」という警戒感が急速に高まりました。