なぜ大森元貴はこれほどまでに厚底ブーツやヒール靴を愛用するのでしょうか。単に「背を高く見せたい」という古典的なシークレットシューズの発想で括るのは、彼の表現者としての美意識を見誤ることになります。
Mrs. GREEN APPLEの「フェーズ2」以降、大森のビジュアル表現は劇的に洗練されました。中性的なメイクアップ、ドレープを効かせたオートクチュールのような布遣い、鮮やかなヘアカラー。そうした前衛的なアートワークにおいて、足元に重心を置く重厚なプラットフォームシューズは、全体のシルエットを引き締め、彫刻のような完璧なフォルムを作り出すための不可欠なピースです。
現代のグローバルファッションシーンにおいても、Rick OwensやBalenciagaをはじめ、メンズコレクションにおける高層プラットフォームやヒールブーツは前衛的なステータスシンボルとして定着しています。大森が実践しているのは、旧来の男性アーティスト像に囚われない、自己プロデュースとしてのファッション戦略そのものです。