2026年春に敢行された一斉摘発では、道路上を占拠していた数百脚のプラスチック椅子や木製パレットが強制撤去、または自主回収させられた。路面が露出し、かつてない見通しの良さを取り戻したアメ横。しかし、その静寂は長く続かなかった。
摘発からわずか数週間後、現地を訪れると奇妙な光景が広がっていた。かつてのように路地の真ん中まで堂々とテーブルを置く店こそ減ったものの、建物の軒先・ひさしの直下に沿って、横一列に細長くビールケースを並べた「変形屋外席」がズラリと並んでいたのだ。店員に尋ねると「ひさしの下は店の敷地内。道路にはみ出していないから問題ない」と口を揃える。
だが、この主張には法的な根拠が乏しい。都市計画や建築基準法上、店舗の軒下であっても敷地境界線を越えて道路空間の上空に突き出ているひさしは多く、足元の地面自体は正真正銘の公道(区道)であるケースが大半を占める。「道路との境界線」を巡る曖昧さを突き、取り締まりの隙間を縫う商魂のたくましさが、現場に新たなグレーゾーンを生み出している。