数ある全国の母子手帳のなかでも、全国的なニュースとなり歴代屈指の注目を集めたのが奈良市と堂本剛氏によるコラボレーションです。
ソロアーティストとしての独自の世界観のみならず、キャラクター「Sankaku」のデザインやCDジャケットのイラストレーションを手掛けるなど、クリエイターとしても高い評価を受けていた堂本氏。2013年、奈良市の仲川げん市長からの熱烈なオファーを受け、故郷への深い愛着から完全無償で母子健康手帳の表紙イラストの描き下ろしを引き受けました。
描かれたのは、温かみのあるタッチで表現された母子の絆と、奈良の象徴である鹿のモチーフ。芸能人が自治体の母子手帳という極めて公共性の高い公文書のデザインを手掛けるケースは極めて異例であり、発表当時は市役所の窓口への問い合わせが殺到しました。
この取り組みは単なるタレントプロモーションにとどまらず、「行政文書は無機質で固いもの」という先入観を打破し、若い親たちが我が子の成長記録を大切に保管したくなる心理的動機付けに大きく貢献したパイオニア事例として、現在も行政デザインの成功モデルに挙げられます。