笠原将弘氏のバックボーンである「焼き鳥店」の経験は、肉の扱い方に如実に表れています。親子丼の主役である鶏もも肉は、ただ一口大に切って煮込むだけではその真価を発揮できません。
プロの技として笠原氏が強調するのが、「余分な黄色い脂身と筋の丁寧な除去」、そして「皮目を均一に広げて火通りを揃えるカッティング」です。肉の厚みを均一に整えてから一口大に切り分けることで、短時間の煮込みでも肉が縮まず、驚くほど柔らかくジューシーに仕上がります。
また、玉ねぎの切り方にも独自の計算が働いています。繊維に沿って薄切りにすることで適度な食感を残し、鶏もも肉の柔らかさとの心地よいコントラストを演出。出汁の中で玉ねぎが透き通るまでさっと煮立て、その甘みがタレに溶け出した瞬間を見逃さないことが、和食の基本を押さえたプロのアプローチです。