名付けのルーツとなった日本建築の縁側にも、日本人が培ってきた深い機能美と空間哲学が息づいています。縁側とは、本来は建物の外周や部屋の外側に張り出して作られた細長い板敷き通路のことです。内側である「座敷」と、外側である「庭」の間に位置し、雨風を防ぎつつ外気や陽光を取り込む緩衝地帯(中間領域)として設計されてきました。
建築構造として見ると、主に雨戸や窓ガラスの外側に完全に露出して設置される「濡れ縁(ぬれえん)」と、雨戸の内側に組み込まれて室内廊下のように機能する「くれ縁(榑縁)」の2種類に大別されます。濡れ縁は、風雨にさらされても水がたまらないよう、スノコ状に板の隙間を空けて作られることが多く、この規則正しい板の並びこそが、まさに魚のえんがわの筋模様と重なり合います。
かつての日本家屋において、縁側は単なる移動用の通路ではありませんでした。近隣住民が靴を履いたまま腰掛け、お茶をすすりながら世間話に花を咲かせる「日常のソーシャルスペース」としての機能を果たしていたのです。内と外を厳密に分けず、他者を柔らかく迎え入れるこの構造は、現代の住宅デザインやコミュニティ論でも再評価されています。