「豆腐料理 空野 南船場店」を語る上で絶対に外せないのが、来店客のほぼ全員が注文する看板メニュー「出来立て空野とうふ」です。『Walkerplus』の「目の前で作って食べる!できたて豆腐&湯葉のお店」特集などでも高く評価されているこの料理には、五感を刺激する見事な仕掛けが隠されています。
注文が入ると、スタッフの手によって卓上に小さなコンロと土鍋が運ばれてきます。土鍋の中に入っているのは、厳選された国産大豆(主に契約栽培の大豆)から毎朝絞られる、糖度14度以上の濃厚な無調整豆乳です。温められた豆乳に、スタッフが手際よく伊豆大島産の天然にがりを打ち込み、大きく十字を描くように混ぜ合わせると、そこから約10分〜15分の「待つ楽しみ」が始まります。
砂時計が落ちきるのを待つ間、土鍋からは大豆の甘く芳醇な香りが立ち上ります。火が消え、蒸らし終えた蓋を開けると、そこには真っ白で艶やかな出来立て豆腐が姿を現します。食べ方も独特で、以下の3段階で味の変化を楽しむのが空野流です。
- 第一段階(そのまま):まずは何もつけずに一口。一般的な市販の豆腐とは一線を画す、プリンのような滑らかさと、大豆本来の濃厚な甘みが口いっぱいに広がります。
- 第二段階(お塩で):卓上に用意されたこだわりの天然塩をひとつまみ。塩味が大豆の甘みを極限まで引き立て、輪郭のある味わいに変化します。
- 第三段階(特製だし醤油と薬味で):最後は旨味の強いだし醤油と、ネギや生姜などの薬味を添えて。温かい豆腐に出汁が絡み合い、至福の余韻を残します。
さらに、この店のもう一つの主役が生湯葉と生麩田楽です。引き上げられたばかりのトロリとした生湯葉は、口の中で溶けるような繊細な食感が特徴。また、もっちりとした弾力が魅力の生麩田楽は、香ばしく焼かれた味噌の風味と相まって、「豆腐料理だけでは物足りないのでは?」という先入観を見事に覆す満足感を与えてくれます。