1995年放送の『美少女戦士セーラームーンSuperS』に登場したフィッシュ・アイは、当時のアニメ界において極めて先駆的なキャラクターでした。熱帯魚から魔法で人間の姿に変えられたアマゾン・トリオの末弟でありながら、そのビジュアルは誰よりも華奢で可愛らしい少女そのもの。ターゲットとなる男性の「夢の鏡」を覗き込むため、自ら女装してアプローチを仕掛ける奔放さと、美しい男性に本気で恋をしてしまう乙女心を併せ持っていました。
当時キャリアの初期にあった石田彰は、過度なファルセット(裏声)に頼り切るのではなく、地声の響きを精妙にコントロールすることで「女性よりも可憐で、どこか妖しい少年性」を成立させました。単なるオネエ口調の記号的なギャグにとどまらず、わがままな愛嬌、嫉妬に狂う狂気、そして「人間になれない動物の哀愁」を多面的に演じ分けたのです。
特に終盤、人間への憧れと届かぬ恋に苦悩するシリアスな演技は、多くのアニメファンに深い衝撃を与えました。「女性キャラクターに見えるが、実は男性声優が演じている」という事実が当時の視聴者に与えたインパクトは絶大であり、石田彰という名優の名を全国に知らしめる決定打となりました。