丹精込めて煮上げた甘露煮を、数ヶ月先のお正月まで風味を落とさずに保存するためには、保存容器の脱気(だっき)が決定的な鍵を握ります。単に煮沸した瓶に詰めるだけでは、蓋の内側に残った空気がカビの繁殖や酸化劣化を招きます。
手順としては、煮沸消毒を済ませた耐熱瓶に熱い状態の栗とシロップを口元から1cm下まで隙間なく注ぎ入れます。蓋を軽く閉めた(完全に締め切らない)状態で瓶ごと湯煎にかけ、15分ほど加熱して瓶内の空気を熱膨張させて外へ逃がします。湯から引き上げたら直ちに清潔な布巾を使って蓋を固く締め直し、逆さまにして常温で冷却します。内部が減圧状態となって蓋の中心がペコッと凹めば、完全な真空密閉が完了した証拠です。
この脱気処理を施した瓶詰めは、直射日光の当たらない冷暗所で約半年から1年間の常温保存が可能です。年末のおせち料理の準備期間に慌てることなく、秋の旬の真っ只中に仕込んだ極上の甘露煮を使って、艶やかな栗きんとんを余裕を持って仕立てることができます。