今回の配信形態において最も多くのファンが疑問を抱いたのが、「なぜ日テレ系のHuluや、無料のTVer見逃し配信が用意されなかったのか」という点です。通例、日本テレビや読売テレビが制作に関わるスペシャル特番は、系列傘下のHuluで長期配信され、TVerで1週間の期間限定無料配信が実施されるのが標準的なフォーマットでした。
この異例のスキームの背景には、国内の枠組みにとどまらない劇場版名探偵コナン最新作『ハイウェイの堕天使』へのグローバル導線が存在します。映画配給の東宝や制作委員会にとって、劇場版の興行収入を国内外で最大化するためには、世界中に強固なインフラを持つNetflixの会員基盤を活用することが最重要課題と位置づけられました。
放送関係者の分析によると、日本テレビおよび読売テレビは従来の「自社経済圏(Hulu)への囲い込み」から一歩踏み出し、莫大なグローバルライセンス料と世界同時展開の波及効果を優先するハイブリッド戦略へと舵を切っています。劇場版のティザー的役割を担う『30号殺人事件』を世界規模のプラットフォームへ独占供給することで、作品ブランド全体の生涯価値(LTV)を引き上げる計算が働いています。