ネット上のコミュニティやSNSを観察すると、内山昂輝に対して「いつも淡々としたキャラばかり演じているのではないか」という表層的な見方をする声が稀に見受けられます。しかし、これは彼の卓越した表現力が生んだ錯覚と言えます。
実際にファンや音響監督が挙げる評価の核心は、その「微小な差異のコントロール」にあります。『ハイキュー!!』の月島蛍が見せるシニカルなトーンと、『ブルーロック』の糸師凛が放つ鋭利な冷徹さは、声のトーンこそ近い位置にありながら、声帯の使い方や重心の置き方が全く異なります。前者はどこか自分を守るための殻としての冷たさであり、後者は他者を圧倒するための攻撃的な刃です。
また、『僕のヒーローアカデミア』の死柄木弔のように、喉を擦り潰すような生理的嫌悪感を誘う芝居から、『ホリミヤ』の宮村伊澄のように、春風のように穏やかで優しいウィスパーボイスまで、彼のレンジは極めて広大です。「どんなキャラを演じても自然体に聞こえる」こと自体が、徹底したキャラクター分析と職人肌の技術に裏打ちされた結果であることは、現場の制作陣が一様に証言している事実です。