戦闘機を描く際、ディテールから描き始めてしまい、左右の翼の長さが合わなくなったり、胴体がねじれたりする失敗は後を絶ちません。戦闘機は極めて高度な対称構造を持つ工業製品です。破綻を防ぐためには、最初から流線形を追うのではなく、単純な幾何学立体への置き換え(ブロッキング)から始めるのが鉄則です。
まず、アイレベル(目線の高さ)と消失点を設定し、機体全体をすっぽり覆うような「大きな細長い直方体」を描きます。この箱の上面に中心線(センターライン)を引き、機首から尾部までの背骨を固定します。次に、胴体部分を細長い八角柱や紡錘形として捉え、主翼が広がる領域を薄い「三角柱」として直方体の側面に食い込ませます。この段階で、左右の翼端がパースライン(透視投影線)に正しく乗っているかを徹底的にチェックしてください。
骨格が決まったら、角を削るようにして曲面を削り出していきます。現代の戦闘機は「ブレンデッドウィングボディ(BWB)」と呼ばれる、胴体と主翼の境界線が滑らかに一体化した設計が主流です。角柱から徐々に有機的な曲面へとトランジション(移行)させていく意識を持つことで、硬質でありながら流れるような美しいシルエットを破綻なく構築できます。