これほど重苦しく陰惨な劇中シーンでありながら、なぜ「最低だ俺って」はネット上でポップなミームとして愛好されているのでしょうか。
理由のひとつは、短く語感の良いフレーズが「やってはいけないと分かっていながら、誘惑に負けて自堕落な行動を取ってしまった瞬間」の自虐ネタとして完璧にフィットする点にあります。「深夜2時にラーメンとチャーハンを完食した時」「休日に一歩も布団から出ずに夕方を迎えた時」など、日常の小さな後悔をネタ化する際の定型句としてSNS上で定着しました。
さらにサブカルチャー界隈では、このシーンをブラックユーモアとして取り入れた「最低だ俺ってカクテル」や「コンセプトドリンク」がアニソンバーやファンコミュニティで考案されてきた歴史があります。
牛乳やカルピス、ヨーグルトリキュールなどの白濁した液体をベースにし、透明なグラスに注いだビジュアルで劇中の「汚れた右手」を連想させる悪趣味な演出は、作品を熟知したファン同士の嗜みとして一種の語り草になっています。公式のコラボカフェ等で大々的に販売されることは極めて稀ですが、同人イベントや個人経営のコンカフェ・バーカルチャーにおいて、強烈なインパクトを持つ名物ドリンクとして知られています。
また、YouTubeやニコニコ動画、TikTokなどの動画プラットフォームでは、映画の該当シーンを切り抜いた解説動画や、他のアニメ・ゲームキャラにこのセリフを言わせるパロディMAD動画が数多く制作され、劇場公開を知らない若い世代にも「エヴァ屈指の有名ネタ」として認知されるに至りました。