火災による死因の大半は、炎による直接の熱傷ではなく、有毒な一酸化炭素やシアン化水素を含む煙の吸入による一酸化炭素中毒・窒息です。煙は水平方向には毎秒0.5〜1メートル(大人の歩行程度)で広がりますが、階段や吹き抜けなどの垂直空間では毎秒3〜5メートルという猛烈な速度で上昇します。
44名もの尊い命が失われた2001年の歌舞伎町ビル火災から四半世紀が経過しようとしていますが、今なお雑居ビルや共同住宅において「階段や通路に段ボールや私物が山積みされ、避難経路が塞がれている」という違反事案が後を絶ちません。避難経路に障害物があると、煙で視界がゼロになった暗闇の中で命取りになります。
共同住宅や複合ビル内で火災報知機が作動した際は、以下の原則を徹底して行動してください。
- エレベーターは絶対に使わない:途中で停電により停止し、シャフト自体が煙の煙突と化して閉じ込められるリスクがあります。必ず非常階段を使用します。
- 姿勢を極限まで低く保つ:煙と熱気は上部に溜まります。床面近くの地上30センチ程度には酸素を含んだ空気が残るため、濡れたタオルやハンカチ(無ければ衣服)で口と鼻を覆い、四つん這いに近い姿勢で壁伝いに進みます。
- 退避時にドアを閉める:部屋を出る際、可能であれば部屋のドアを閉めてください。空気の供給を絶ち、廊下への煙の噴出を遅らせる防煙区画の効果が得られます。