結論から申し上げますと、所有元である世界的大手酒類メーカー・ディアジオ社ならびに国内正規輸入代理店から、ロイヤルロッホナガー12年に対する「完全終売」の公式アナウンスは出されていません。それにもかかわらず、なぜ「終売」という確定的な情報がネット上で独り歩きしてしまったのでしょうか。
発端となったのは、酒販卸ルートにおける「一時的な出荷停止(休売)」措置でした。ロッホナガー蒸留所はハイランド地方のディー川上流、バルモラル城の隣に位置し、スコットランドでも有数の小規模蒸留所として知られています。ポットスチルはわずか1対(2基)しかなく、もともとの年間生産能力が極めて限られています。近年の世界的なシングルモルト需要の過熱により、長期熟成原酒のストックが限界に達し、計画的な出荷制限を余儀なくされたのが実情です。
酒販店で「次回入荷未定」の札が掲げられ、ネットショップの在庫ステータスが「完売」に変わったことで、SNSやウイスキーコミュニティの間で「いよいよ終売か」という憶測が瞬く間に拡散。一度火がついた噂は、後述する市場の買い占め現象と相まって、確固たる事実であるかのように定着してしまったのです。