あけびの真価が発揮されるのは、果肉を取り出した後に残る分厚い果皮の調理です。農林水産省の統計データでも、あけびの国内生産量の約8割〜9割を山形県が占めており、現地では果肉よりもむしろ果皮を食べるために栽培・購入されると言っても過言ではありません。
山形をはじめとする東北地方で古くから愛されてきた味噌炒めや天ぷらなど、皮を最高のおかずに進化させる調理の歴史と工夫を紐解くと、理にかなった科学的なアプローチが見えてきます。
失敗しない「アク抜き」の黄金ルール
あけびの皮には強いほろ苦さ(サポニンなどの成分)が含まれています。調理前に縦半分に切り、スプーンで白い果肉を取り除いた後、一晩水にさらすか、塩を振って下茹でしてから冷水に取ることで、不快な渋みだけが抜け、ふきのとうやゴーヤに通じる「心地よい大人のほろ苦さ」だけが残ります。
油と味噌で旨味を閉じ込める「肉詰め」と「天ぷら」
アク抜きした果皮は、熱を加えるとナスのようなトロッとした柔らかい食感に変化します。苦味成分は油脂と 결합することでまろやかになる性質があるため、多めの油で調理するのが鉄則です。
- あけびの肉詰め(郷土料理):開いた果皮のくぼみに、豚ひき肉や舞茸、ネギを混ぜたタネを詰め、かんぴょうや爪楊枝で止めて油で焼き上げ、甘辛い味噌ダレを絡めます。肉の脂分を吸った皮が絶妙な旨味を放ちます。
- あけびの味噌炒め:皮を食べやすい大きさに切り、ごま油でじっくり炒めてから、砂糖・みりん・味噌・唐辛子で味付けします。ご飯のお供や日本酒の肴として最高の一品です。
- 天ぷら・揚げ物:短冊切りにした皮をそのまま衣をつけてカラッと揚げます。高温の油で揚げることでアク抜きなしでも苦味が抑えられ、サクッとした衣とトロリとした皮のコントラストが楽しめます。