平穏な家族の日常に暗い影を落としたのが、博恵さんを襲った乳がんの診断でした。発覚以降、病状は決して平坦ではなく、手術や入退院を繰り返す過酷な闘病生活が数年にわたって続きました。
アスリートとして培った強い精神力で弱音を吐かず、家族に心配をかけまいと気丈に振る舞い続けた博恵さん。新沼さんもまた、歌手活動の合間を縫って病院へ通い詰め、身の回りの世話や心のケアに奔走しました。しかし、病魔は確実に彼女の体を蝕んでいきます。
そして迎えた2011年9月。同年の3月に発生した東日本大震災によって新沼さんの故郷である大船渡市が壊滅的な打撃を受け、心を痛める夫を病床から励まし続けていた博恵さんでしたが、秋の気配が近づく頃、家族に見守られながら62年の生涯に幕を下ろしました。