『必殺シリーズ』の中村主水といえば、奉行所では「昼行灯(ひるあんどん)」と蔑まれ、恐妻と姑の尻に敷かれながらも、裏では冷徹無比な剣を振るう二面性が魅力でした。しかし、長女が明かした家庭内での父親・原田眞の素顔は、テレビの中の情けない亭主関白ぶりとは大きく異なっていました。
娘たちの目に映っていたのは、極めて几帳面で神経質、そして妥協を一切許さない職人気質の父親でした。台本を覚える期間は自宅の自室に籠もり、家族であっても軽々しく話しかけることができない重苦しい緊張感が漂っていたといいます。食事の作法や身の回りの整理整頓にも厳しく、昭和の家父長制を色濃く残した存在でした。
一方で、学校行事への参加など一般的な「父親らしい触れ合い」はほとんど持てなかったものの、娘たちが進路や人生の岐路に立った際には、言葉少なげに深い愛情と支援を示す人物でもありました。不器用ゆえに感情を直接ぶつけることは少なかったものの、その厳格さは自らの芸に命を懸ける役者としての覚悟の裏返しであったと長女は振り返っています。