ポンズの最期が読者に与えたトラウマの本質は、劇的な別れの言葉や美化された殉職が一切排除されていた点にあります。そこにあったのは、純粋な生物学的「捕食」と、無機質な暴力でした。
森を抜け、NGLの境界線付近に辿り着いたポンズは、持っていた手紙に自らの血でメッセージを走り書きします。そして自らが操る蜂たちに手紙を結びつけ、「最も強いオーラを持つ者」のもとへ飛ぶよう指示を出しました。その瞬間、任務を果たした安堵の表情が彼女の顔に浮かびます。
しかし、次のコマで鳴り響いたのは容赦のない銃声でした。
背後から放たれた銃弾がポンズの体を貫き、前のめりに倒れ込みます。撃ったのは、近代兵器である拳銃を手に入れた無名のキメラアントでした。蟻は倒れたポンズに向けて容赦なく追撃の銃弾を何発も撃ち込み、息の根を止めます。そして、息絶えた彼女の衣服を剥ぎ取り、その場でバリバリと音を立てて肉を喰らい始めたのです。
少年漫画のヒロイン格に近い容姿を持つキャラクターが、名前すらない雑兵の銃火器によってあっけなく射殺され、ただの「肉」として消費される。この容赦のない暴力描写は、読者に凄まじい衝撃を与えると同時に、「キメラアントとは何か」「人間が食物連鎖の頂点から滑り落ちるとはどういうことか」を読者の網膜に強烈に焼き付けました。