「赤と緑を混ぜると茶色になる」という現象は、図工の教科書が教えてくれる最初の混色の法則であると同時に、色彩物理学の深淵へと続く入り口でもあります。光を削り取る減法混色の作用を理解すれば、思い通りに絵の具を操り、豊かな陰影や味わい深い自然の色彩をキャンバスの上に再現できるようになります。
一方で、液晶ディスプレイやLEDが普及した現代社会において、光が織りなす加法混色の知識は、デジタルイラスト制作やWebデザインの現場でも欠かせない教養となりました。手元のパレットで濁っていく物質の色と、スクリーンの中で輝く光の色。その対比を意識しながら筆を握る、あるいはピクセルを打ち込むとき、私たちが目にする世界はこれまで以上に立体的で奥深い表情を見せてくれるはずです。