なぜ、このような歪んだ行動様式が形成されてしまうのでしょうか。その背景には、心理学で言う「傷つきやすい自己愛(脆弱な自尊感情)」と、伝統的な規範の狭間で引き裂かれる現代男性特有の葛藤があります。
恋愛コラムニストの潮凪洋介氏が指摘するように、男性の心の内奥には女性が想像する以上に傷つきやすく脆いナイーブな男心が存在します。プライドが高ければ高いほど、小さな拒絶や失敗によって自己イメージが粉々に砕け散る恐怖を抱えています。その恐怖から身を守るために、無意識のうちに「最初から決めない」「他人のせいにする」という防衛線を張ってしまうのです。
さらに事態を複雑にしているのが、旧来型の男らしさの呪縛です。弱音を吐いてはならない、強く主導権を握らねばならないという社会的圧力が根強く残る一方で、現代社会はそのようなマッチョイズムを時代遅れとして退けます。2024年の『ダイヤモンド・オンライン』の論考でも触れられているように、攻撃的で支配的な男性性への反省が進む一方、感情の適切な処理方法を学んでこなかった男性たちは、逃避的な態度へと傾斜しがちです。
デンマークをはじめとする北欧社会では、公の場で涙を流す指導者がむしろ感情的誠実さを持つ「真の成熟」として称賛される文化が存在します(Courrier Japon、2024年2月報道)。感情を表に出すこと自体が悪なのではありません。感情を自己の責任として統御できず、幼児のように周囲へ承認やケアをねだる依存的構造こそが、葛藤の根本原因なのです。