『スローモーション』の穏やかな成功を経て、中森明菜を一躍トップスターへと押し上げたのは、同年7月28日に発売されたセカンドシングル『少女A』でした。売野雅勇が作詞を手がけたツッパリ路線のロックビートは社会現象となり、オリコン5位、累計約40万枚の大ヒットを記録します。
しかし、オリコンニュースの報道などでも回顧されているように、当時の本人は『少女A』の過激な歌詞に対して強い抵抗感を抱いており、「大嫌いだった」と後に述懐しています。自身の等身大の感性に寄り添っていたのは、紛れもなくデビュー曲の『スローモーション』でした。
動の『少女A』と、静の『スローモーション』。この二面性こそが、のちに『セカンド・ラブ』『北ウイング』『DESIRE -情熱-』へと続いていく、中森明菜の比類なきアーティスト性の基盤を構築することになりました。キャリアがどれほど華やかさを増しても、コンサートや節目のステージで彼女が真っ先に立ち返る聖域は、常にこのデビュー曲だったのです。