なぜプロ野球選手たちは、この曲を自身の勝負の舞台に選ぶのか。理由の一端は、HIPPY自身の泥臭い下積みと表現スタイルにあります。スマートに洗練されたトラックがもてはやされる時代にあって、HIPPYのボーカルは喉を絞り出すようなエモーションと体温の高さを失いません。
マウンドに立つ投手、ネクストバッターズサークルで深呼吸をする打者。何万人もの視線と結果への責任を一心に背負うアスリートにとって、整いすぎた音楽は時に現実味を欠きます。失敗すれば容赦なく批判に晒される世界で戦う彼らにとって、『君に捧げる応援歌』が持つ「這い上がる人間の覚悟」は、自らの心情と完全に同期する鏡となったのです。
サンケイスポーツなどのメディア報道でも言及されているように、選手本人がこの楽曲から力をもらい、そのプレーを見たファンが楽曲に還流するという幸福な好循環が形成されました。アスリートと楽曲が互いのストーリーを補強し合ったことが、流行歌で終わらない耐久性を生み出した要因です。