「やる気が出たら勉強を始めよう」と考えるのは、脳科学的には順序が逆です。脳の奥深くにある側坐核や淡蒼球は、外部からの刺激がない状態では活動を開始しません。机に座ってテキストを開き、ペンを持って1行書くという物理的な運動が入力されて初めて、ドーパミン分泌が活性化します。
この現象は心理学者エミール・クレペリンが提唱した「作業興奮」として知られています。最初の5分間だけハードルを徹底的に下げて作業に着手すると、側坐核が自己刺激され、後から意欲が追いついてきます。やる気は始める前に存在する感情ではなく、始めた結果として生成される副産物です。
難問の演習から着手してはいけません。英単語を3つだけ音読する、計算問題を1行だけ解く、あるいは机の上を片付けてノートを開くだけで十分です。最小単位の動作が脳の点火プラグの役割を果たします。