高杉晋助の死を理解する上で避けて通れないのが、「銀ノ魂篇」以降に彼が冒した禁忌の選択です。不死の怪物である虚(うつろ)を止めるため、高杉は自らの心臓に虚の因子であるアルタナの血液を注入しました。これにより、常人を遥かに超える驚異的な再生能力を得たものの、その代償は極めて残酷でした。
アルタナの力は、宿主の生体エネルギーを猛烈な勢いで喰らい尽くします。高杉の肉体は次第に崩壊を始め、左目の視力だけでなく全身の細胞が壊死と再生の限界を迎えていました。さらに、身体の深淵からは虚自身の意識が浸食を開始し、高杉の精神を乗っ取ろうと迫ります。
映画『銀魂 THE FINAL』の決戦において、高杉は完全に虚に身体を明け渡すことを拒絶しました。自らの身体を刃で貫くことで虚の復活を食い止め、最後は松下村塾の同門であり終生のライバルであった坂田銀時との一騎打ちを選び取ります。単なる外傷による死ではなく、己の魂を最後まで「高杉晋助」として保ち続けるための自決に近い決断が、彼の命の灯火を消す決定打となりました。