五言絶句を理解する第一歩は、漢詩の歴史的分類を知ることにあります。漢詩は大きく分けて、唐代以前の比較的自由な形式を持つ「古体詩(こたいし)」と、唐代に完成した厳しい音韻・文字数規則に従う「近体詩(きんたいし)」の2つに大別されます。五言絶句はこの近体詩に属しており、1文字の過不足も許されない厳密な制約の上に成り立っています。
1句が5文字、それが4句連なるため、詩全体で使われる文字はジャスト20文字です。この20文字という極限の短さは、詩人に妥協を許しません。わずかな意味の重複や冗長な語彙は徹底的に削ぎ落とされ、一語一語に複数のイメージや多重の感情が託されます。言葉を削れば削るほど、語られない「余白」が広がり、読者の想像力を刺激する構造になっています。