今回披露された『いのちの歌』は、決して派手な演出を意図した選曲ではありませんでした。指導にあたった音楽科教員や生徒たちが重視したのは、歌詞に込められた「生まれてきたことへの感謝」と「かけがえのない存在への肯定」です。
混声三部合唱という編成は、ソプラノ、アルト、男声の3パートがそれぞれ異なる旋律を歌いながら、全体としてひとつの調和を紡ぎ出します。一人ひとりの声質が違っても、互いを聴き合うことで美しい和音が立ち現れる構造そのものが、社会における他者理解のあり方と重なります。
生徒たちは放課後の練習時間を割き、歌詞の1行ごとにディスカッションを重ねました。「本当に大切なものは隠れて見えない」という一節に、日常で抱える不安や葛藤を投影したといいます。舞台に立った高校生合唱団の真摯な眼差しは、来場した市民だけでなく、日々過酷な相談対応に向き合う相談員たちの心にも確かな活力を注ぎました。