池袋という街は、秋葉原とは異なる独自の女性向けサブカルチャー文化を育んできました。アニメイト池袋本店や同人誌書店、執事カフェが密集する「乙女ロード」の真横に位置するサンシャインシティプリンスホテルは、長年その地理的恩恵を享受してきましたが、2010年代半ばまでは一般的なシティホテルとしての運営にとどまっていました。転機となったのは、インバウンド需要の多様化と、モノ消費からコト消費(体験価値)への明確な消費行動の変化です。
ホテル経営陣は、館内の25階全体をサブカルチャー専用のコンセプトフロア「IKEPRI 25」へと大胆にリニューアルしました。全20室の客室に加え、宿泊者同士が交流できる4つの専用ラウンジを完備したこのフロアは、単に「キャラクターのポスターを壁に貼った部屋」ではありません。作品の舞台装置を忠実に再現した調度品、フロア限定のアメニティ、さらにはオリジナルボイスによる館内アナウンスなど、五感全体で作品世界に浸る設計が施されました。この空間デザインがコアファンの熱狂を呼び、今日の不動のポジションを確立したのです。