本作の白眉は、一度聴いたら耳から離れないキャッチーかつ哀愁を帯びたサビのフレーズです。疾走感のあるバンドサウンドに乗せて歌われるのは、取り返しのつかない過去への叫びです。
「繋いだ手から」という言葉が象徴するのは、物理的な距離の近さではありません。互いの体温を感じられるほど近い場所にいながら、その指の間から砂のように零れ落ちていく大切な記憶や温もりです。主人公は手を握っていたつもりで、実際には指の力を緩め、相手を引き止める努力を怠っていました。「失ってから気づく」という陳腐になりがちなラブソングの主題を、back numberは身体感覚を伴う生々しい痛覚として描写しています。