持ち帰ったマテ貝を調理する際、アサリと同じ感覚で「一晩じっくり海水に浸けて砂抜きする」のは間違いです。マテ貝は砂泥の中に垂直の巣穴を掘って暮らしており、体内(特に筋肉部分)に大量の砂を溜め込む構造にはなっていません。長時間塩水に浸けすぎると、逆に浸透圧ストレスで体力を失い、自らの殻を外して弱ってしまいます。
砂抜きの所要時間は、現地で汲んできた海水(または水500mlに食塩15gを溶かした3%食塩水)を使用し、水深を貝がわずかに浸かる程度にして15分〜30分程度で十分です。ボウルの中にザルを重ねて貝を寝かせておくと、自重で水管からわずかに残った砂や海水をピュッと噴き出します。新聞紙をかけて薄暗くしてあげると活発に水を吐き出します。
また、大ぶりのマテ貝(体長12cm以上)を食べる際に気になるのが内臓処理です。基本的には丸ごと加熱して問題ありませんが、干潟の環境によっては中腸腺(黒っぽい内臓部分)に細かな砂粒が残ることがあります。完全な砂ゼロの滑らかな食感を目指すなら、下茹で後に殻から身を外し、足の付け根にある黒い内臓嚢を指先で優しく押し開いて流水で洗う「ひと手間」を加えるだけで、口当たりの雑味が劇的に解消されます。