小野賢章のキャリアを振り返る上で外せないのが、およそ10年間にわたり同役を務め上げた映画『ハリー・ポッター』シリーズの日本語吹き替えです。思春期の声変わりから青年の声へと変遷する過程を世界規模のメガヒット作と共に歩んだ経験は、日本国内の声優シーンにおいても稀有なバックグラウンドとなりました。
その後、2012年の『黒子のバスケ』で主人公・黒子テツヤ役に抜擢。影の薄い少年がチームを勝利へ導く淡々とした闘志を表現し、声優としての地位を不動のものとします。さらに『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』のジョルノ・ジョバァーナ役では、過酷な宿命を背負った青年の覚悟と高潔さを、気品漂う鋭敏な声色で演じ切り、国内外のファンを熱狂させました。こうした多彩な経験値が、現在のシリアスからコメディ、青年からパペットまでをも軽やかに横断する圧倒的な適応力へと昇華されています。